R&D
当社では3つのコア技術を主軸として製品開発を行っています。具体的な開発体制、コア技術の詳細、製品開発に関わる取り組みなどをご紹介します。
朝日ラバーの強み
01柔軟な対応力
長年にわたりOEM製品に携わってきた経験から、お客様の求める仕様にフレキシブルに対応いたします。ゴムにかかわらず新しい要素を積極的に取り入れることで、OEMからODMへの変革を進めながら、自動車、医療、通信など幅広い分野に対して様々な製品を展開しています。
02確かな技術力
朝日ラバーではコアとなる3つの技術をベースとしてQCDSEのあらゆる角度から製品をご提案いたします。多様な製品開発にかかわる中で蓄積した技術は裾野が広いため、ゴムに縛られない製品の企画・提案やコラボレーションにも積極的に取り組んでいます。
03誠実な姿勢
これまでの経験では解決することが難しくても、解決の方法を探究し、挑戦してきたことで「朝日ラバーだったら何とかしてくれる」という言葉をいただき、朝日ラバーは大きく成長しました。これからもお客様に寄り添いながら、お困りごとに真摯に向きあってまいります。
開発体制
技術・営業・研究の連携を強化し、会社としての総合力を発揮できるような開発体制を整えています。新規分野の事業や新製品の創出と技術基盤の強化を目的として、社内外の技術の融合や先端技術の取り込みによる「戦略的育成テーマ」を推進しています。
博士(工学)
朝日ラバーは、創業以来研究開発に力を入れ、数々の新製品を導入してきました。そういった活動の一環として、大学との連携、産学連携があり、当社はこれを新製品開発促進の重要施策として位置づけています。実際に北海道大学と電磁波測定用の全身人体ファントム「ラバーファントム」を、日本大学と高衛生性・衝撃吸収発泡体を利用した福祉介護用品「サポラス」のデザインを共同で研究し、製品化しています。また、大学の研究室にて子会社取締役や社員を社会人選抜枠の博士後期課程で学ばせ、博士号取得へと導いています。
株式会社朝日ラバー 代表取締役社長
株式会社朝日FR研究所 代表取締役社長
博士(工学)渡邉 陽一郎
研究テーマ
高分子多孔質体の製造に関する研究
株式会社朝日FR研究所
博士(工学)行田 和起
研究テーマ
分子接着剤を用いたチタンとエポキシ樹脂の流動体接着
株式会社朝日FR研究所
博士(工学)渡辺 延由
研究テーマ
熱伝導性シリコーンゴム複合体の作製に関する研究
株式会社朝日ラバー
博士(工学)根本 雅司
研究テーマ
アルミニウム基板とエラストマーの流動体分子接合に関する研究
株式会社朝日ラバー
博士(工学)金平 隆史
研究テーマ
二次下請け企業の産業材マーケティングに関する研究
株式会社朝日FR研究所
博士(工学)三原 将
研究テーマ
高伸張性ポリジメチルシロキサンナノシートの開発とスキンコンタクトデバイスへの応用
技術情報
お客様の期待にクオリティと経済性で対応
私たち朝日ラバーは、独自の競争力の源泉である「色と光のコントロール技術」「表面改質及びマイクロ加工技術」「素材変性技術」の3つのコア技術に、「制御と感性」を成長のキーワードを追加し、人の健康を含めた環境問題の解決に役立つ商品、新たなグリーン市場を創出する画期的な商品にとって、なくてはならないパーツを創り、お客様の期待にクオリティと経済性で応えます。
コア技術「制御&感性」
色と光のコントロール技術
様々な色をつくり出したり、色調を精密に整えるばかりでなく、透明なシリコーン樹脂に集光・拡散という光学的機能を持たせ光をコントールする技術です。この技術でつくられた製品はASACOLORブランドを冠し、日米で商標登録しました。
ブランド
シリコーンを材料に独自の配合技術と調色技術を生かした光デバイスに応用する製品群を、グローバルに展開していくために、アルファベット表示のとしてブランド化しました。
(ASA COLORは朝日ラバーの登録商標です)
次世代照明として期待されるLEDの光のばらつきを均一にし、10,000色以上のバリエーションが可能です。主に自動車照明の光源として採用いただいています。
光透過性の高いシリコーン樹脂を材料にし、他の樹脂レンズに比べて紫外線や熱により経年劣化が非常に少なく、集光・拡散などの光学機能を持つレンズです。鉛フリーハンダのリフローにも使用することができます。
調色・色調管理 ASA COLOR LED
LED が持つ環境性能と私たちのコア技術が コラボレートし、ASA COLOR LED の 開発へ
環境問題が世界の解決すべきテーマとなっていく過程で、自動車の内装照明も電球からLEDへと転換が始まりました。LEDは、長寿命で低消費電力、しかも環境負荷物質を含んでいないという特徴があるため、次世代の光源として、環境対応の一つの答えとも言えます。従来の赤、緑、橙色に加え、青色LED の開発により光の三原色が揃い、さらに安定して明るく発光する白色LEDが誕生したことで、LED化の波が大きく動き出しました。
いち早く市場の動きに対応し、LEDを光源とした色と光のバリエーションの研究をスタートさせていた私たちは、波長が短く光をコントロールしやすい青色LEDに注目。電球に被せるカラーキャップのASACOLOR LAMP CAPで培った色と光をつくる技術とLEDがコラボレートする方向に歩み始めたのです。
お客様のニーズに、きめ細かく、徹底的に応えます
光源そのもので独自の色を均質につくり、大量に安定して供給することは技術的に非常に難しく、LEDも同様です。例えば純白から電球色に近い暖かい白色、 あるいは白からオレンジへの微妙なグラデーション領域の白など、LED単体ではつくることが困難な色もあります。蛍光体の特性を理解し、シリコーンゴムに配合する技術と、個々のLEDが持つ発光のばらつきなどの特性を細かく測定し、分類し、それに応じたキャップを被せることで均質の光をつくるという技術が、他ではできないASA COLOR LEDの最大の特徴であり、強みでもあります。
私たちは営業スタッフだけでなく、技術スタッフや子会社の朝日FR研究所・研究員とも連携し、お客様に直接お会いして要望をお聞きし、色彩輝度計、分光放射輝度計などを駆使してお客様の期待に応えます。
光学設計 ASA COLOR LENS
耐熱性、耐紫外線性に優れ、軽くて光学特性を持つASA COLOR LENS
私たちは主にシリコーンゴムを素材とした製品を展 開していますが、透明なシリコ-ン素材に着目。耐熱性、耐紫外線性に強く、軽く、集光・拡散というレンズの機能を活かしてLEDと複合化。携帯電話のカメラ用フラッシュや赤外線センサーへの採用をはじめ、新しい用途としてエコカーのヘッドライト用パワーLEDにも採用いただき、さらに可能性を大きく広げています。
最新設備、オートメーション・ラインなど生産体制の充実で、お客様のニーズに応えます
ASA COLOR LED、LENSなどを生産する白河工場は、温度や湿度などの環境試験機、分光放射輝度計や色彩輝度計を備え、生産スペースはクリーンルームで、床は静電気を逃がす導電床を採用し、一定の温度と湿度で管理されています。また、シリコーンゴムに含まれる低分子物質を取り除く液体洗浄処理工程では、使用液体を蒸留・再生して循環させ、工場から廃液を出さないクリーンな工場でもあります。素材や材料の特性検査・分類から始まる生産ラインはオリジナル設計のオートメーション機器も多く、 生産技術、検査システムを含めて工場を訪れるお客様 の安心をいただいています。
素材変性技術
ゴムをはじめとするソフトマテリアルは、素材に添加物を配合することで求める機能を持たせることができます。さらに、ナノ・分子レベルで成形することによりその機能をパワーアップすることもできるのです。これらの技術を私たちは、素材変性技術と呼んでいます。
ナノ・分子レベルの加硫配合 電磁波制御体
可能性広がるラバーファントム
ユビキタス社会の到来とともに、暮らしに欠かせな くなった電子機器は全て電磁波を発信しています。この電磁波が人体に近いところで、どのように広がるのかを測定するのに役立つラバーファントム。NTTドコモ様、パナソニック様、三菱電機様などの各社に採用いただきました。また、人間の体が微弱な電気を流す性質を持っていることに着目し、データ通信に利用する人体通信は、その実用化が目前で数々の実証実験がスタート。そこでも役立っているのがラバーファントムです。
その特性に世界が注目
ラバーファントムは、骨格の役割を果たす繊維強化 プラスチック(FRP)を組み込み、材質はシリコーンゴム製でカーボン・ナノチューブ(CNT)などの導電 性物質を混ぜることで電気特性をコントロールしています。そして、シリコーンゴムは安定性が高いため、 使用する温度や湿度によって、電気特性が変化することはありません。さらに液体、寒天、セラミック、樹脂などで作成された他の測定装置に比べ、リーズナブルで変質しにくいことから世界の注目を浴びています。
人と同じ電気特性を安定的に再現し、従来不可能だった人の立体像として、立つ、座るといった様々な測定姿勢はもとより、手や頭といった部位での提供も可能としました。また、製造過程において測定用のセンサーやチップを埋め込むことも可能です。関連特許も出願しており、商標も登録しています。
ナノ・分子レベルの加硫配合 サポラス
化学発泡剤を使わずに発泡する技術
発泡といえば包装や緩衝材に使われる発泡スチロールがよく知られています。軽く、衝撃吸収性が高いという特徴がありますが、一般的に行われている発泡は化学発泡剤によるガス発泡です。サポラスは、ゴムの一種である素材を化学発泡剤を使わずに、しかも連泡させる技術で、肌の近くに持ってきてもアレルギーを引き起こす心配がありません。軽く、衝撃吸収性が高いのはもちろん、通気性に優れ、水にも強い。
介護やスポーツなどのツールへの活用をはじめ、様々な分野への採用が期待されます。
表面改質およびマイクロ加工技術
素材の表面を改質処理することによって接着させたり、微細な加工を施すことで機能を持たせる技術です。素材変性技術が中身に機能を持たせるのに対し、外側から機能を発揮させる技術です。
無溶剤接着ICタグ
折り曲げに強く、耐水性・耐熱性に優れ、小型化された新ソフトICタグ
小型の情報チップのひとつであるICタグ。物の識別に利用され、バーコードに代わる技術として研究され進化しています。実用例として、大量の書籍を管理する図書館の自動貸し出しシステムに活用されたり、物流で用いられる運搬機器やビルの入退室管理に用いられるなど、使われ方は様々です。
私たちの表面改質技術である、溶剤を使わずに接着させる“無溶剤接着”により、ICチップやアンテナ部をゴム素材で覆い、折り曲げに強く、耐水性、耐熱性に優れた、柔らかい小型のICタグが実現しました。
マイクロ加工 医療器具の薬液混注ゴム栓
点滴の輸液バッグの、針を刺すゴム栓。ここにマイクロ加工技術が活きています
混注ゴム栓は、薬液を混注するシステムの部品です。従来のゴム製品は直接針を刺す仕様(ニードル仕様)ですが、現在針を用いない仕様(ニードルレス仕様)が増えています。昨今では医療用具を含め、医療業界では特に安全性が重要視されており、このニードルレス仕様のゴム栓は、針刺し事故が無く、更に確実な消毒作業が容易となっています。私たちは、このニードルレス仕様を実現させるため、マイクロ加工を施す事によりニードルレス仕様の機能(薬液注入口の形成及び薬液漏れ防止)を満足させることを実現し、医療用具の安全性に貢献しています。
朝日FR研究所
- 組織名
株式会社朝日FR研究所 - 設立
- 1987年4月
- 所在地
- 埼玉県さいたま市大宮区土手町二丁目7番2
- 代表者
- 渡邉 陽一郎
- 主な活動内容
- 朝日ラバーを支える特長ある技術を開発
1.研究所の使命・目的
技術開発型・高収益企業体質・人間の尊重という創業期の伝統を、新しい時代に実現させて、株式会社朝日ラバーを生成発展させるための開発部門。
具体的には、新規素材の開発や既存素材をニーズの変化に合わせて改良する事で
1.販売金額の柱を作る。
2.利益の源泉を作る。
3.社会から必要とされる:特徴ある素材開発をする。
2.目標達成のために
1)人材
- 社会的責任を認識して、倫理観ある人間として成長する
- 自らが課題を見つけ、解決することができる人材が創出される
2)研究・開発
- 市場トレンドを見て、訴求できる研究をする
- 自社の強みを強く認識する
- 重点集中化した取り組みをする
- 事業化のための量産検討のために、多方面に選択肢を持てるような原理的な研究をする
- ニーズにマッチした研究開発の技術を確立して、引出しを増やす
3.朝日FR研究所の行う要素技術
表面改質(接着)、材料変性(配合)、シリコーンの技術
4.参考
要素技術の概念の説明
1)要素技術とは
朝日ラバーグループを支える技術の柱と位置づけます。ベースになる普遍的な技術のことです。
たとえば、グループの要素技術としては、 a.調色・調光技術、b.材料変性(配合)、c.表面改質(接着)、d.シリコーンの応用技術、e.金型設計、f.これらの加工・ものづくりの技術です。
2)普遍的な技術の必要性
図1のように、市場で、当社を認めてもらうためには、当社の付加価値が何かということを明確に差別化しなければなりません。 当社は、製造業(ものづくりの会社)ですので、社会に対して、「創って、作って、売る」というサイクルの中で世の中を豊かにするとコミットをしています。このように他が真似のできないものを作るということのためには、当社のコアとなる要素技術を深堀りし続けるということが最重要になってきます。当社の要素技術を高めることで、技術の裾野が広がり、それをベースとし、普遍的に製品に生かされていきます。
3)要素技術を深堀りし続けるということの重要性
時代と共に、環境が変わり、お客様の要求も変化します。また同業他社も創意工夫で差別化を図っていますし、昨日まで他業種だったのが、今日は同業に進出してくるという脅威も今は起こり得ます。そういう時代において、当社が常にお客様に支持されるための付加価値は、要素技術の確かさとそのユニークさです。
図2は、要素技術を特化しなかったり、今までの技術とはかけ離れている技術を盲目的に手掛けてみたりして、資源が分散して結果的に、要素技術を深堀りせず、その都度対応することによって、時代・環境に合わない製品しか提供できないということを意味しています。
図3では、要素技術の深堀りが継続的に行われることで、お客様に選んで頂ける製品を作ることができ、今後も経営基盤を強固にし続けられることを示しています。
取り組み
大学や企業と連携した多種多様な取り組みによって新しい製品を開発するとともに、当社独自で積極的な開発活動を行っています。