朝日ラバーグループは、持続的な未来の実現のためには地球環境に配慮した事業活動が必須と考え、温暖化対策をはじめ、循環型社会の形成に向けた廃棄物削減、化学物質の適正な管理に取り組んでいます。
2021年度は、前年度、白河第二工場に設置した300kWの自家消費用太陽光発電設備が一年間を通して稼働し、再生可能エネルギーの比率を増加させました。
白河工場と白河第二工場で使用する総電力の約24%を再生可能エネルギーで賄いました。他工場に設置済みの太陽光発電設備を合わせた合計発電出力は750kWとなり、実際の発電量は、当社工場部門で使用する電力の約12%となりました。
省エネ活動としては、電力の見える化を活用した設備電源タイマーの設定見直し、お客様のご協力をいただきながら取り組んだ製造方法の省力化、設備の断熱対策、コンプレッサーの吐出圧変更などの他、省エネパトロール、省エネ標語の募集、省エネ改善提案のキャンペーンなどの意識向上活動を実施しました。
これらの省電力対策に取り組みましたが、太陽光発電電力量を含まない、全体の購入電力使用量は、受注の増加により、5.9%の増加となりました。
■電力使用量の推移
灯油は、医療製品の工程で使用する温水を作るために使用しています。該当する製品の生産数量により増減しますが、品質不良による再生産ロスを少なくしていくことが重要な取り組みになります。品質不良による再生産の減少に継続的に取り組むとともに、ボイラーの運転や配管からの放熱のロスの改善、排熱の利用にも取り組んでいきます。
2021年度は、ボイラーから蒸気の熱を水に伝える蒸気漏れの修理や生産終了後のボイラーの運転停止などの運用面の改善を行いました。生産量の増加もあり、使用量は、前年比3.3%の増加となりました。
■灯油使用量の推移
当社から排出されるCO2の約9割は電力に起因します。電力起因のCO2を削減するため、段階的に自家消費用の太陽光発電設備を設置しています。
2021年度は、各工場の太陽光発電設備で1,007MWhを発電し、各工場で使用しました。これは一般的な家庭230世帯分の年間電力消費量に相当します。また、12月からは、全工場において使用する外部からの購入電力をすべて再生可能エネルギー起因の電力(水力発電による属性のある非化石証書付電力)に変更しました。これにより、エネルギー消費によるCO2の発生は、ボイラー燃焼時に発生するものだけになります。蒸気配管の断熱や排熱の利用、電気エネルギーとの組み合わせなどでエネルギーの効率的な使用に取り組むとともに、今後も再生可能エネルギーを利用した生産活動を推進していきます。
■CO2排出量の推移
廃棄物重量の4割強を占めるゴム系廃棄物に対し、不良品を減らす活動、金型からはみ出す余分な材料(バリ)を減らす活動を継続しました。また、ゴムやプラスチック廃棄物は生産量に対し、一定割合で発生する性質があり、生産方法を見直し、その比率を変えていくことが大切な取り組みになります。2021年度は全体の生産量の増加に伴い廃棄物も増加し、前年比6.5%の増加になりました。
■廃棄物総排出量と前年度比の推移
年度 | 廃棄物(t) | 前年度比(%) |
---|---|---|
2017 | 318.8 | 109.1 |
2018 | 295.0 | 92.5 |
2019 | 296.0 | 100.3 |
2020 | 244.1 | 82.5 |
2021 | 260.3 | 106.6 |
■廃棄物の種類
種類 | 排出量(t) |
---|---|
ゴム屑 | 116.1 |
シリコーンゴム | 33.7 |
ポリシート、プラスチック | 60.2 |
汚泥 | 5.1 |
排紙 | 19.5 |
可燃物 | 14.7 |
木製パレット | 7.5 |
その他 | 3.5 |
■廃棄物総排出量
ゴムやポリシート、木製パレットはRPFなどの燃料、硬質プラスチックや樹脂製廃ブラスト、廃ウエスなどは焼却後の灰を路盤材、一部のゴムや古紙類は再生原料に利用しています。
これまで開拓したリサイクルルートにより、2021年度は、一般廃棄物を含む全廃棄物に対するリサイクル率は前年とほぼ同じ92.3%となり、90%以上を継続しています。
■リサイクル量およびリサイクル率の推移
水の主要用途は、ゴム製品の処理や洗浄になります。工程のトラブルが使用量に影響するため、品質不良による再生産を予防する活動を継続しています。また、敷地内の水道配管は地下に埋設されている範囲が大きいため、水道配管の劣化や冬期の凍結による水道管破裂による漏水ロスを少なくすることも大切です。異常の早期発見と処置のため、水使用量の定期チェックによる異常の確認を行っています。2021年度は、医療向け製品の構成が変わり、処理や洗浄が必要な製品の減少により、水の使用量は前年比8.0%減少しました。
■水使用量の推移
当社の主力商品だったASA COLOR LAMPCAP中に含まれる不純物を取り除くため、当社では過去にトリクロロエチレンを使用していました。このトリクロロエチレンが地下に浸透していることがわかり、1996年から土壌ガス吸引浄化装置による土壌浄化、2004年から地下水揚水浄化装置による浄化を行ってきました。
2012年からは、微生物分解による土壌浄化の可能性についての調査を開始し、微生物分解による効果が得られるか、微生物を活性化させる薬剤を投入しながら確認してきました。地下30mの酸性土壌という不利な条件のもと、なかなか効果が確認できませんでしたが、これまでの結果から少しずつ、反応が進んでいることがわかってきました。
2021年度も、土壌中で徐々に消費される薬剤を補充するとともに地下水の汚染状態のモニタリングを行い、その結果を地元自治体である福島県に報告をしながら、浄化の進行を確認してきました。また、土壌中にわずかに残留している汚染物質をガスとして吸引除去する井戸を追加で設置し、2022年度より運転を開始します。徐々にトリクロロエチレンの濃度は低下する傾向ですが、まだ地下水基準値より高い状態です。継続して浄化活動を進めていきます。
製造工程中には、ゴム製品そのものや設備の清掃、製品の洗浄や処理用など、様々な化学物質があります。化学物質には、PRTR法等の国内法令やRoHS、REACH他の海外規制があり、当社では、これらの法規制の改正情報の収集やお客様からの含有情報の問い合わせに対応しています。
工程中で使用する有機溶剤や設備作動油などの化学物質も有害性、危険性の低いものへの代替を進め、酸やアルカリなどの毒劇物、可燃性の配合薬品などの危険物は、安全に取り扱うための安全データシート(SDS)や局所排気装置を整備するとともにリスクアセスメントを実施し、より安全で衛生的な職場環境を目指し、改善を進めています。