CO2排出の7割を占める電力が新規製品の生産ラインの稼働や老朽設備の更新などにより前年比0.1%減少しましたが、新製品に使用するボイラー用の灯油が増加したことなどから、電力削減によるCO2削減を上回り、排出が3.3%増加となりました。
2011年度は第二福島工場での新規ガスケットが本格生産を開始し、水の使用量が増加しました。水の使用量を定期的にチェックし、漏水によるロスの早期発見に努めましたが、地震による福島工場の給水設備や配管からの漏水、冬期の厳しい寒さで水道設備配管が破裂したことによる漏水も発生しました。これらの結果、前年度比37.3%の増加となりました。
受入原材料や混練加工済み材料、工程を経て完成した製品中のRoHS 6物質の含有検査を実施し、品質を保証しています。REACH規則SVHCに該当する物質*については、お客様への含有情報の開示や代替活動を継続中です。また、ゴムの性能を高めるために使用しているPVCの代替活動、PFOAを含有しない離型剤への変更などを実施しました。
*2011年12月19日公表(第6次リスト)73物質
2011年度は、2010年度から開始した天然ゴムや一般合成ゴム、ポリシートのRPF*化を本格的に実施し、これらのリサイクル率が40.0%から44.8%に向上しました。さらに廃ゴムのリサイクルを進めるため、廃ゴムそのものを他のプラスチックと混合して燃料として利用する粉砕・圧縮処理を開始しましたが、採算面から恒久的な処理方法にはなりませんでした。
また、東日本大震災の影響を受け、これまでセメント原料としてリサイクルしていた排水処理施設からの汚泥の処理が廃止され、リサイクルから外れました。このような結果から、リサイクル率は54.5%となり、前年度比6.5%低下しました。
*RPF:Refuse Paper and Plastic Fuel
主に古紙や廃プラスチックなどマテリアルリサイクルが困難な産業系廃棄物を主原料とした固形燃料
東日本大震災やタイの洪水の影響を受け、自動車向けなどの受注が停滞する中、昨年度増設した医療用製品向けの新生産ラインが効率的に稼働し、省電力に貢献しました。また、震災の影響を受けた福島工場では、被災して使用できなくなった設備を効率のよいものに換え、省エネ化を進めました。また、設備の電源投入時刻、不要時間帯の停止などの管理を継続し、無駄の削減に努めました。この結果、電力使用量は前年度比0.1%の減少となりました。
2011年度は、ボイラーの運転条件の見直しや蒸気ロスの改善、やり直し作業削減を継続しましたが、新製品の立上による生産量の増加に伴い、使用量も急増しました。これらの結果、灯油消費量は前年度比19.2%の増加になりました。
不良品や原料ゴムの成形加工時のバリ削減活動を継続しましたが、医療新製品の生産数量増加に伴うゴム屑やポリシート等の廃棄物は増加しました。しかしながら、2010年度に不動在庫の廃棄が多量に発生し、通常年度より総排出量が大幅に増加しているため、結果的に前年度比の廃棄物総排出量としては3.0%の減少となりました。
ポリシートについては、新製品用の原料ゴム、加工済み材料の保護シートを中心に使用量が増加しました。このため歩留り改善による投入材料の削減効果を上回り、前期比2.1%増加しました。
当社の主力商品だったASA COLOR LAMPCAP中に含まれる不純物を取り除くため、トリクロロエチレンを使用してきました。このトリクロロエチレンが地下に浸透していることがわかり、1996年から土壌ガス吸引浄化装置による土壌浄化、2004年から地下水揚水浄化装置による浄化を行ってきました。2011年度は、地下水揚水浄化と地下水の定期的なモニタリングによる浄化効果の確認を継続するとともに、新たにボーリングによる土壌調査を行いました。この結果、これまで揚水していた深さより浅く、地下水のない場所に新たな汚染箇所が発見され、この浄化促進のための新たな取り組みが必要になりました。あらためて現状の汚染分布状況を調査し、汚染状況に合った浄化方法を選定して、浄化を進めていきます。
注)設備廃棄など通常の生産活動では発生しない鉄屑および廃油を2011 年度より集計対象から 除外したため、2007 年度までさかのぼって集計値を変更しています。
1996年より土壌浄化活動に取り組んできましたが、既に有機溶剤の使用をストップして設備を廃棄したにもかかわらず、2011年度に新たに有機溶剤の濃度が高い土壌が確認されました。現在、その対策に全力で取り組んでいます。最優先で進めているのが、土壌状態の把握と影響エリアの確認です。どの程度の汚染があるか、他に汚染された土壌はないか、敷地外部への流出はないか、あらためて詳細な調査を行っています。特に、当社の敷地以外への影響はあってはならないことです。そのため、敷地内や境界の監視ポイントをさらに増やしていきます。これらの調査結果は毎月行政へ報告します。同時に、より効率的でスピーディな処理を行えるよう検討しています。例えば有機溶剤の分解能力を持つ土壌菌などの自然の力を応用した処理方法を考慮しています。2012年度中には汚染エリアの調査・処理方法の検討を終える予定です。2013年度は具体的な対策を実行していきたいと思っています。