ゴムをはじめとするソフトマテリアルは、素材に添加物を配合することで求める機能を持たせることができます。さらに、ナノ・分子レベルで成形することによりその機能をパワーアップすることもできるのです。これらの技術を私たちは、素材変性技術と呼んでいます。
可能性広がるラバーファントム
ユビキタス社会の到来とともに、暮らしに欠かせな
くなった電子機器は全て電磁波を発信しています。この電磁波が人体に近いところで、どのように広がるのかを測定するのに役立つラバーファントム。NTTドコモ様、パナソニック様、三菱電機様などの各社に採用いただきました。また、人間の体が微弱な電気を流す性質を持っていることに着目し、データ通信に利用する人体通信は、その実用化が目前で数々の実証実験がスタート。そこでも役立っているのがラバーファントムです。
その特性に世界が注目
ラバーファントムは、骨格の役割を果たす繊維強化
プラスチック(FRP)を組み込み、材質はシリコーンゴム製でカーボン・ナノチューブ(CNT)などの導電
性物質を混ぜることで電気特性をコントロールしています。そして、シリコーンゴムは安定性が高いため、
使用する温度や湿度によって、電気特性が変化することはありません。さらに液体、寒天、セラミック、樹脂などで作成された他の測定装置に比べ、リーズナブルで変質しにくいことから世界の注目を浴びています。
人と同じ電気特性を安定的に再現し、従来不可能だった人の立体像として、立つ、座るといった様々な測定姿勢はもとより、手や頭といった部位での提供も可能としました。また、製造過程において測定用のセンサーやチップを埋め込むことも可能です。関連特許も出願しており、商標も登録しています。
化学発泡剤を使わずに発泡する技術
発泡といえば包装や緩衝材に使われる発泡スチロールがよく知られています。軽く、衝撃吸収性が高いという特徴がありますが、一般的に行われている発泡は化学発泡剤によるガス発泡です。サポラスは、ゴムの一種である素材を化学発泡剤を使わずに、しかも連泡させる技術で、肌の近くに持ってきてもアレルギーを引き起こす心配がありません。軽く、衝撃吸収性が高いのはもちろん、通気性に優れ、水にも強い。
介護やスポーツなどのツールへの活用をはじめ、様々な分野への採用が期待されます。