従来の電球や蛍光ランプ等の置き換えとして、次世代の照明として期待されているのがLEDです。その流れは一般照明のみならず、車載用照明の分野でも顕著になってきています。
この記事では車載用室内LEDを軸として、今後どのようなカテゴリーで活用され、どのような発展を遂げていくのか?その将来性も含めて解説します。
まずLEDという光源がどのようなものなのか?従来の光源と比較したうえで、その特性やメリットに関して解説していきます。
LEDが登場する以前の車載用照明としては電球がメインでした。しかし見やすさや色調・短寿命といった点で最適とは言えず、早くから電球に換わる光源が求められていたのです。
従来の電球に比べてLEDが優れている点として、
・環境への配慮
・明るさ
という2つが挙げられます。
自動車関連産業では、早くから排ガス規制や省エネルギー・エコといった環境問題を念頭に置き、「環境にやさしい」取り組みを実践してきました。
もちろんヘッドライトなどの灯火類、室内照明などの車載用照明も例外ではありません。LED化の波はルームランプのみならずインパネ等のメーター類など、室内空間全般に及んでいるのです。
LEDは電球と比較すると85%以上の省電力ですし、光源そのものが出す熱量も低いため、それだけCO2を出さないということになります。
また長寿命というメリットもあります。定格寿命が4万時間だと仮定して、1日に10時間点灯させても10年以上使える計算となるのです。
新車で購入した場合、次に買い替えるタイミングとなったとしても光源の交換は不要ですから、メンテナンスフリーだと表現しても差し支えないでしょう。
魅力的なスタイリングやエクステリアを気に入って購入に踏み切る消費者が多いわけですが、室内環境やインテリアを重視する方もたくさんいらっしゃるかもしれません。
特に試乗した際、乗り心地やハンドリングだけでなくメーター類の見やすさも射幸心をくすぐるポイントとなるでしょう。
明るくて見やすく、カラフルな色合いのインパネは目を引き付けますし、夜には美しさが際立つものです。そういったグラデーションを楽しめるのもLEDの特性だと言ってもいいでしょう。
またインパネ周りだけでなく、各種スイッチ類やエアコン周りのコントロールパネルなどを彩る光源にもLEDは活用されています。
特にハイブリッドカーなどエコカーにおいては、各種電装品の省電力化は走行距離のアップにもつながり、大きなアピールポイントとなっているのです。
LEDの技術革新は車載用LEDにも大きな変化をもたらしました。デザインや設計に対して、より自由度が増したという点がポイントです。
従来のLEDではどうしても1個単位での輝度が小さく、求められる明るさを確保するためには複数のLEDが必要でした。
しかしLEDチップの発光効率を向上させたことによって高輝度化が実現し、より実装スペースが小さく、より省電力化に寄与するLEDが続々と生まれることとなりました。
使用するLEDが少ないため、設計の自由度は増しますし、コストも安く抑えられるというメリットが生まれるのです。
またLEDそのものの明るさや配光・色調などのバリエーションが増えるにつれて、様々なデザインに対しても対応が可能となっています。
省電力・長寿命・デザインや設計の自由度が効くLEDですが、決して万能というわけではありません。メーカーごとの品質やコストに関する問題は避けては通れないところでしょう。
車内のコントロールスイッチ類の多くは、スモールランプと連動して背面から光を透過しています。その透過する面のことを意匠面と呼びますが、LEDを光源とした場合、近すぎても遠すぎても明るさや色調が変化することがあります。
遠すぎる場合はより輝度の高いLEDを使用する、もしくは集光レンズ、ライトガイド、導光体を用いて明るさを補います。また、近すぎる場合は拡散レンズ(拡散板・フィルター)を用いるわけですが、光が通過すると吸収・拡散等によって色調が変化したり、色ムラが起こる場合があります。
そういったことを防ぐためには設計の際、明るさや色の十分な評価が必要となります。
一方、流す電流によって明るさのばらつきや色ムラが起こることもあります。
一般的なLEDの場合、10〜20mA程度の電流を想定して作られていますが、5mA以下の低い電流を流すと、放出される光の量が大きくばらつく場合や不点灯となる場合があります。流れる電流の量も想定に入れつつ設計する必要があるでしょう。
またメーカーごとの品質の違いも見逃せません。信頼性の高い日亜化学工業やクリー、車載用ではオスラムといったトップメーカーの製品であれば問題はないものの、価格面だけでメーカーを選択してしまうと、初期不良や製品個々のばらつきに直面することもあるのです。
ヘッドライトのLED化はたしかに進んでいますが、室内環境において普遍的にLED化が図られているかといえば一概にそうとは言えません。
LEDの技術革新が進む中で、車載用LEDは無限の可能性を秘めているといっても過言ではないのです。
車載用LEDに製品としての信頼性が求められるのは、ヘッドランプやテールランプ等をはじめとした外装照明だけではありません。
インパネやルームランプ・コントロールパネル等で使用される内装照明に対しても同様の信頼性が求められているのです。
またLEDは温度環境によって大きく性能が左右される製品です。高温度下では光出力が低下する傾向があるため、過酷な温度環境にあっても測光性能要件を満たすことが条件です。信頼に足るLEDを用いることが何より不可欠だと言えるでしょう。
次世代の車載用照明として注目されているLEDとともに、最近になって注目されている技術があります。それが「レーザー光ファイバー照明」です。
この技術は直径1mm以下のファイバーを色鮮やかに発光させることが可能なため、ルームランプや間接照明としての役割が期待されています。
インテリアの質感を向上させることで、より高級感あふれるラグジュアリーな空間を作り出せますが、あくまでLEDとは棲み分けされていくのではないでしょうか。
なぜならLEDと比較すれば絶対的な光量が足りないことや、ファイバーが破損した場合に強い光が漏れ出てしまうため、安全性という面ではまだまだ課題が多いからです。おそらく今後、さまざまな改善点が出てくるのではないでしょうか。
LEDの開発・製造分野における国内トップリーダーとしては、やはり日亜化学工業の名がまず挙がるのではないでしょうか。
LEDに蛍光体を組み合わせた白色LEDの開発をはじめとして、様々な分野における高付加価値製品を世に送り出し、高い評価を得ています。
また朝日ラバーやシチズン電子などに対してライセンス供与を行い、供与を受けた側も独自のパッケージング技術をもって市場規模を拡大しています。
また日亜化学の強みは生産工程を全て内製化し、委託・協力企業に工程を丸投げしていないところでしょうか。そのため品質管理が一元化され、質の高い製品を供給できるのです。
日亜化学の技術は多様化する要望にも合致しています。ユーザーが求める明るさや色彩を細かく実現し、満足のいく結果を得られることに繋がるのです。
高い技術と厳格な品質管理に裏打ちされた日亜化学のLED製品ですが、ライセンス供与を受けている朝日ラバーでは、独自のパッケージングをもって車載照明分野における市場を開拓しています。
それが「ASA COLOR LED」というもの。蛍光体を配合したシリコーン製ゴムキャップを青色LEDに被せ、多種多様な色調の要望にも対応しています。そのカラーバリエーションは10,000通り以上にもなります。
設計やデザイン段階で起こりうる問題は実にさまざまです。希望の色がない、明るさや色のばらつき、コストの問題など、解決策を探るにも一苦労ではないでしょうか。
朝日ラバーは自動車産業への納入実績が豊富ですし、希望に応じたカスタムも承っています。もしお困りでしたら、お気軽に弊社までご相談ください。
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