株式会社朝日ラバー(本社:埼玉県さいたま市、代表取締役社長:渡邉陽一郎 証券コード5162)は、このたび、12誘導心電図と心臓の関係を立体的に理解するためのモデルの開発と生産に取り組み製品化いたしました。本製品は2024年9月に医療関係の学生向けの教育ツールとして、国際医療看護福祉大学校(学校法人国際総合学園、福島県郡山市)に採用されました。
1.開発の経緯
当社はこれまで培ってきたネットワークを生かし、医療教育用シミュレーターの開発を進めてきました。国際医療看護福祉大学校からのご相談を受け、2023年8月に心臓の冠状動脈の構造を立体的に理解するための「CAトレーナー」を開発し販売を開始しました。
同校よりさらなる教育ツール拡大のご相談をいただき、「3D心電図Ⅻ-lead 」の開発を開始し、製品化に至りました。
2.製品の概要
@心臓のしくみと心電図
わたしたちの体は、血液から酸素や栄養物を取り入れています。そして、この血液を体に絶え間なく送り出す重要なポンプの役割を担っているのが心臓です。人体の生命にかかわる大切な臓器である心臓は、心臓内の洞(房)結節という部位から一定の間隔で発せられた電気信号の刺激で心臓内部の筋肉(心筋)を収縮させ、新鮮な酸素や栄養素を含む血液を絶えず全身に送り続けています。
この心臓の状態を診断するために用いる心電図は、洞(房)結節から出る電気信号を波形として捉えるもので、一般的に心臓の前後左右から記録する6つの電気信号(胸部誘導:V1〜V6)と心臓の各部位から記録する6つの電気信号(四肢誘導:I, II, III, aVR, aVL, aVF)からなる12誘導心電図が使われます。電気信号は心筋内を駆け巡るように決められたルートに沿って流れますが、心臓は立体的なため様々な方向や角度からみた波形を組み合わせることで、心臓の動きは正常か、異常がみられる位置はどこかなどを診断できます。
A12誘導心電図を学習する際に難しいことは
心電図として観測される波形の種類は、「この波形は右肩から心臓を見た時のものである」といったように、心臓をどの方向から見ているかによって分かれています。12誘導心電図では12種類の波形が観測されるため、12パターンの方向から心臓を見ています。どの方向から心臓を観察するかはアイントーベンの三角形(左図)のような簡略図を用います。しかし簡略図は平面であるため、見る方向と心臓のかたちとの関係を三次元的に理解しにくいという課題がありました。
B「3D心電図Ⅻ-lead 」の特長
このたび開発した「3D心電図Ⅻ-lead 」は、12誘導心電図で心臓を見る方向を立体的に示し、心臓がどのように見えるかを的確に表した学習用シミュレーターです。製品中央に立体的な心臓を配置し、それを取り巻くように心電図で心臓を見る方向や位置を三次元的にあらわすことで、心臓との位置関係や心臓の見え方が明確化し12誘導心電図をより正確に理解する手助けとなります。
2023年8月に発売を開始したCAトレーナーと今回開発した3D心電図Ⅻ-lead は、心臓の同じ部位を同一色で表しているので、組み合わせて使用することで心臓の冠状動脈と12誘導心電図を双方向で理解することができます。
【3D心電図Ⅻ-lead の主な仕様】
モデル:MFA-E01
用途 :学習観察用ミニチュア
大きさ:φ70×W90×H155mm
材質 :ウレタンアクリレート樹脂製
販売元:合同会社MFA(東京都中央区)
3.製品の特長・製品写真
4.当社と国際医療看護福祉大学校との関係
ふくしま医療機器開発支援センターでは、福島県内はもとより全国の医療機器メーカーや医療分野への新規参入企業に対して、安全評価・コンサルティング・マッチング・人材育成といった一体的な医療機器開発支援を行っています。
同センターが事務局を務める福島県医療福祉機器産業協議会の主催するセミナーにおいて、国際医療看護福祉大学校から学生用教材のニーズ発信がきっかけとなり取り組みが始まりました。同校の医療現場の発展のみならず、医療関連の教育活動に貢献するため様々な意見交換を実施しています。
5.今後の展開
現在医療に携わっている方だけでなく、これから医療を目指す方たちも理解しやすい教育ツールや手術手技シミュレーターの開発を進め、医療・介護業界に貢献してまいります。