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環境・社会活動報告

環境パフォーマンスデータ/活動状況

 品質不良発生防止や設備、空調の運転管理などの電力削減活動に対し、新しい製品を生産するための設備が稼働したことによる電力が増加し、電力起因のCO2が約71t増加しました。
 また、灯油をエネルギーとして使用する医療用製品の品種構成の変動により、灯油使用量が減少し、灯油起因のCO2が約71t減少しました。これらの増加、減少が相殺された結果、CO2は全体で0.9%の減少となりました。

CO2排出量の推移

 2011年度は、「電力使用制限令」によるピーク電力15%削減に対応するため、初めて工場毎の輪番休業制を取り、多くの不便を感じながらも何とか乗り越えました。2012年度は通常の休業体制のまま、使用電力の監視、目標電力以内での空調や照明の運転管理、夜間生産の比率増などによりピーク電力削減に取り組みました。

 2012年度は第二福島工場で品質不良による再生産を防止する品質向上活動を行いました。また、第二福島工場では新製品の試作品質の確認が始まり、使用量の増加要素となりましたが既存機種の受注減少があり、使用量減少の要素となりました。日常の漏水点検、冬期の水道管損傷防止のための電熱ヒーター、配管保温等の点検、整備を行い、大きなトラブルの発生を防止しました。これらの結果、水の使用量は前年度比28.2%の減少となりました。

水使用量の管理
水使用量の推移

 RoHS指令6物質が工程内で使用されないように原材料や混練加工済み材料を受入段階で検査するとともに、出荷する製品の確認を 行 う ことで、化学物質に対する品質保証を継続しています。
 ゴムの添加剤に使用しているフタル酸エステル類(DEHP)が検討対象物質になったことから、これまでPVCと一緒に進めてきた配合薬品の代替活動が一層重要なものになりました。
 工程内で使用しているPRTR法の対象となる化学物質には数種類の有機溶剤があります。
 環境や安全に対するルールに従って使用するとともにPRTR法で指定される移動量の届出を行っています。

 2012年度は、これまで福島工場排出分に限定されていたゴムバリやポリシートのRPF*化を、新たな処理業者の協力により第二福島工場排出分まで拡大し、ゴムのリサイクル率が44.8%から61.5%に向上しました。また、東日本大震災の影響を受けてリサイクルできなくなっている排水処理施設からの汚泥は、従来のセメント原料としてのリサイクル処理が再開できず、新たに路盤材用途のリサイクルの検討を開始しました。これらの結果、廃棄物全体のリサイクル率は、前年度比7.4ポイント改善し61.9%になりました。なお、鉄屑および廃油は通常の生産活動では発生せず、設備廃棄などのタイミングで突発的に大量発生します。このため集計から除外していますが、適正にリサイクルしています。

*RPF:Refuse Paper and Plastic Fuel
主に古紙や廃プラスチックなどマテリアルリサイクルが困難な産業系廃棄物を主原料とした固形燃料

リサイクル量およびリサイクル率の推移

電力使用量

 生産設備や空調設備の運転管理、夏季の室温調整や室外機冷却のための散水、エア漏れ調査改善によるコンプレッサーの負荷低減、作業場所統合による空調面積削減、プレスへの保温材の導入試験、節電意識向上活動などを継続して行いました。その一方で、新たな生産設備や空調設備の導入による使用量増加、生産量の増加や品種構成の変化等により、最終的には前年度比3%の増加となりました。

灯油消費量

 品質不良の発生防止、熱水処理設備の熱交換器のメンテナンスなどによる熱効率の改善に取り組みました。また灯油を使用する製品の受注減少や次年度立上製品の試作生産などの増減影響を受け、前年度比12.0%の減少となりました。

エネルギー使用量の推移

 廃棄物全体の約6割を占めるゴム系廃棄物の減少を目的に、3工場で投入材料に対する完成製品の歩留り向上活動を継続しました。2012年度は福島工場において、1個あたりのバリが多い製品の受注が減ったこともあり、歩留り向上活動の効果に加え、廃ゴム量の減少要因となりました。ポリシートも同様な理由から減少しました。この結果、廃棄物全体として前年度比4.4%の減少となりました。

廃棄物総排出量の推移
廃棄物の種類
排出量の推移

 当社の主力商品だったASA COLOR LAMPCAP中に含まれる不純物を取り除くため、トリクロロエチレンを使用してきました。このトリクロロエチレンが地下に浸透していることがわかり、1996年から土壌ガス吸引浄化装置による土壌浄化、2004年から地下水揚水浄化装置による浄化を行ってきました。
 2012年度は、これまでの浄化による改善状況を確認し、さらに効果的な浄化方法を検討するために2回の土壌調査を実施しました。1回目は、これまで判明している汚染源周辺の汚染濃度分布をつかむこと、2回目は汚染源から離れた場所での汚染の広がりをつかむことを目的とした調査です。この結果、1回目の調査で汚染源付近には現在でも狭い範囲に残留するトリクロロエチレンが確認されました。2回目の調査では、汚染源から見て地下水の流れの上流側にあたる離れた場所から汚染が新たに検出されました。今後、新たに見つかった汚染の分布調査と従来からの汚染源に残っているトリクロロエチレンを微生物を使って分解、浄化するための試験を行っていく予定です。

土壌調査

 環境マネジメントには、「是正」と「予防」の二つの側面があると考えます。
 「是正」については、特に2012年度に新たな汚染が検出された土壌の浄化に注力していきます。土壌汚染は、さみだれ式な対応では効果が上がりません。まずは現状を正確に把握するために詳細な再調査を行い、専門家の意見を聞きながら具体的な対策を検討していきます。
 「予防」に関する代表的な取り組みは、化学物質管理です。現在もRoHS指令・REACH規制等に対応し管理や検査を徹底していますが、5年後10年後に新たな物質の規制要求が始まるかもしれません。あらかじめ予測し回避するような提案を行い、お客様のリスク低減に貢献することも求められていると考えます。そして当社は、それが可能な先読みする技術力を持っています。
 今後も、「環境対応」が当社の強みであると、お客様に誇れる会社を目指します。

取締役亀本 順志